今、和の素材に興味を持っています。
抹茶をはじめとして胡麻、あんこ、ほうじ茶等のお菓子を作って楽しんでいます。
抹茶は昔からよく使う素材ですが製菓用のものから京都の柳桜園というお茶屋さんのものに変えてみて美味しさに驚きました。
緑が鮮やかですが焼いても風味が飛ばず、とても美味しく出来るのです。
ここのお茶を最初に知ったのはほうじ茶です。
私は静岡に親戚のお茶問屋さんがいた事もありかなりの量の緑茶で育ちました。
あまりに潤沢に緑茶があるため、ほうじ茶や玄米茶の出番はなく、今までほとんど飲んだ事がありませんでした。
だがしかし、ここのほうじ茶を一度飲んだ時は軽いショックを受けました。
「何、これ?」という美味しさ。
勧められるままに何種類か買い、家で楽しくティスティング。
これは素直に値段の高い順に美味しかったのです。
中でも手で摘んで焙じたというお茶はほんとーにおいしかった。
いつも飲んでいる緑茶より高い値段でしたが気にならないほどおいしい。
そのほうじ茶を刻んでロール生地を作り、きな粉クリームを巻いてみました。
上にもお茶をふりかけて香りを強めたらぐっと味が締ります。
ケーキの色が何とも寂びた色合いでシックな仕上がりです。
こんなおいしい物を知らないで私は今まで生きて来たのだ。
今までこのお茶を愛飲されてきた人がちょっと憎たらしい。
私はグルメではありません。お腹がすけば何でもおいしく食べられるしいつもお腹も空いている。
しかし、嗜好品とされる物をかなり嗜好してしまう傾向があります。
お茶、甘いもの、煙草、お酒。どれを外しても私の人生とは言い難い。
この中でもお茶と甘い物は自分に許したカテゴリーなので美味しいよ、と紹介されるとすぐに試します。
でもそれがあまりに美味しくてしかも新作とかではなくて昔からあって知っている人はみんな普通に食べている、なんてものだとなんだか嫉妬にも似た複雑な感情が生まれてしまう。
食に興味がない方にはなかなかわかってもらえないかもしれません。
反対にものすごくまずいものにも興味があります。
もう人知を超えた領域にあるマズい料理。
今は仕事が忙しくなってあまり旅行に出なくなってしまいましたが前はいろいろな国に行きました。そこで本当に美味しいものと、誰に聞いてもあれはやめた方が良いというものは確実に試しました。
マズい方を見つける方が格段に難しかった。
ガイドブックにも載っていないし、教えてくれても誰も一緒に行ってくれない。
アメリカで兄に紹介されたインターナショナル◯ンケーキは本当に行きたかったのに駐車場に入る事さえ拒否されたため断念しました。彼曰く「駐車場に入っただけであの味を思い出してうっとなる」
あぁ、行ってみたい。いまだ思いが残っています。
和の素材の話だったのになんとも妙な展開になってきました。
結局食べる事にかなりな情熱を持っていてもっとおいしく、もっとという気持ちが原動力になって仕事をしているという事なのですね・・・そう思いたい。
ではこの辺りでお腹も空いてきました。
よし。お昼はアメリカのあのお店を思い出してパンケーキにしてみよう!