フルーツ盛りだくさんなサンドイッチのようですがこれは面白いご注文でした。
百人一首が大好きなお嬢さんへのお誕生日ケーキ。
百人一種と言われてあれは何と言うのでしょうか、畳みたいな縁取りのところ。カルタの縁の部分、あれを数色縦縞にした大きなケーキを作ってそれに一首書こうかと思いましたがチョコレートと抹茶が苦手な今日の主役です。どう作っても抹茶とチョコ必須だなぁと考え直し。
そして上の句下の句って言うんでしょうか。あれを一緒に書いちゃだめなんじゃないの?ゲームとして成立しないよね、と気が付き4人家族のお客様だから上の句下の句×2首ではじめから銘々カット済みにしようと思い至りました。
出来上がったケーキがこちら。
主役のお好きな句は「いにしえの奈良の都の八重桜 今日ここのへににほいぬるかな」でした。これ作者は伊勢大輔という方です。はじめは右端に作者名を後から入れるつもりで隙間を空けて句を書き始めたのですが伊勢の勢、そして輔。この字数の多さにあきらめてしまいました。
もうひとつはご注文をくださったお母様がすらすらとおっしゃった句なのでそれを書きましたがこれ作者は在原業平朝臣 。もうムリ。絶対。入り切らないし。
ケーキに字を直接書くのは結構難しいのですがその上縦書き!もう何十年も書いていないかもね、縦に字を。
直ぐに固まらない、でもいずれは固まる固さのチョコレートを作り練習なしでいきなり清書です。
あまり太字にするとチョコ嫌いだからなあと出来るだけ細い字で書きましたが書きながら笑いそうになって焦りました。
緊張するべき場面で緊張するどころか笑いがとまらなくなる悪い癖を亡くなった父によく怒られたものだと思い出しながら書いておりました。そういえば私の父は恐ろしく字が上手だった。あの時だけ乗り移ってくれたらよかったのに、パパ。
今日はお誕生日ケーキのご注文がいっぱいの日曜日でした。
今日の主役は小学生と中学生、高校生。みんな将来は何になりたいのでしょうか。
みんな夢が叶うと良いなあと思いながら生クリームを泡立て、パイを焼いておりました。
私は小さい頃に夢見た職業とはまったく違う仕事につきましたがこれもまた人生です。
余ったシューを犬と分けながらお菓子屋の今の私もしあわせだなと思えました。