我家の5男、コンキリエ君に振って沸いた養子縁組みの話しがあり、今週末に静岡に行く事になりました。
私の母が先週電話で一応は言い難そうに「ねえ、あんたの家の猫、くれない?」と言ったのです。
即答で「イヤ」と言いましたが話しをして事情はわかり、他から猫をもらう算段をしてみたりもしていろいろ考えた結果。
母の年齢を考えると一番良い方法はコンちゃんを母に無期限で貸す、と言う結論に至りました。
生き物の貸し借りなんて、という意見はごもっともですが私達としてもコンをあげたくはないのです。
貸すけど飼えなくなったら迎えに行くから、すぐにでも。という条件でとりあえずお見合いに行く事になりました。
コンちゃんは年齢不詳。出生地不肖。
なんちゃってアメリカンカールですがこれは突然変異に近いらしく筋金入りの雑種です。
我家に来てたぶん9年位。
初めて見たのはまだ寒い初春の頃、居間のガラス越しに家のメダカの水を飲んでいるボロボロな姿でした。
目があったのですが野良だと思い温情をかけるのはお互いに不幸、飲んだら早く立ち去ってくれと念じました。
その1週間後、外出から帰ると隣のお家の人が慌てた様子で「キャトルちゃんが出てる。家の庭にいるから早く捕まえに来て!」と告げたのです。その頃若人だったキャトルの脱走はたまにあり慌てて捕獲に向かい後ろから抱き上げ顔を見たら「キャトル!・・・じゃない!?」それは飢えてがりがりのオカチメンコのキャトルではない猫でした。誰、あんた?
その時のコンは一声「んぎゃ〜っ!!」と私の目を見て鳴きました。訳してみれば「なんちゃって〜!」でしょうか。
「これで助かった!!」と確信したと思う。
よくよくみればキャトルをインク切れさせたような色合い、変な顔、ぼろぼろの毛並み。
「もう僕7日も食べていません。骨と皮です。」と訴えるその猫とお隣のおばあさんを見比べてみたところで「あら、違ってた?てへぺろっ」みたいなおばあさんを責められる訳もなくもちろん猫に「ごめん。猫違いだった。じゃ。」と言える訳もなく。
獣医さんに電話して明日の4時に連れて来てと言われ次の日の4時にここにいなさいね、獣医さんに行けたら家の猫にするからねと言うと彼は日中はいなかったのに3時45分にガレージに置いた段ボール箱に帰って来たのです。
獣医さんから帰りキミの家だよ、と玄関を開けるととっくの昔から自分の家然とした足取りで尻尾をぴんと伸ばし悠々と入って行った後姿を今でも思い出します。
湿った性格で暗い目つき、ファニーフェイスでやる気のない猫、コンキリエ。
我家の猫の中でも不思議な立ち位置を保ち、なぜかお客様の人気は不動のNo.1でした。
その中でも特にコンを可愛がってくださったご夫妻にメールをすると日曜の午後にコンに会いに来てくれました。
お別れパーティです。
お土産も沢山いただき撮影会もして、でも湿っぽくならないお別れ会でした。
K夫妻、コンの為に本当にありがとうございました。
さて、後は今週末に出発するだけですが私の母は私に輪をかけてワガママではっきりした性格です。
オカチメンコのコンを見てこの子はイヤと言われたら喜んで連れて帰って来る予定です。
言ってくれたらいいなと思う気持ちといや、それではお別れ詐欺になってしまうという気持ちで心中複雑ですがなんとなく母のさびしい気持ちを埋めてくれたらすぐに帰って来るような気もしています。
不思議な行く末となりましたが私はあまり悲観はしていないのです。
コンは帰って来ても、母の所で一人っ子の王子様で一生を終えたとしても幸せだと思えます。
キミの仕事をまっとうしたら帰っておいで。
それは一瞬かもしれないし長いかもしれないけれど役割があり選ばれたのはコンだから。
出会えた事に感謝して一緒に過ごした9年間に感謝して。
コン、家を選んで来てくれて、ありがとう。